まず、基調講演として、ヨーゼフ・クライナー氏(法政大学特任教授)が「オランダ商館長の江戸参府」というテーマでお話くださいました。日本に興味を抱くヨーロッパ人たちが、日本入国の唯一の窓口だったオランダ東インド会社に入ることを望み、それがためにオランダ人に限らず各国のヨーロッパ人が長崎のオランダ商館にやってきたこと、将軍への挨拶のための江戸参府の旅が好奇の目にさらされながらの窮屈なもので、出島での生活が存外にゆったりと楽しいものであったことなど、鎖国政策の中で展開した異文化接触の生き生きとした実態を、当時の記録をもとにお聞かせくださいました。
続いて落語家の桂南喬師匠による落語「大山詣り」が上演され、その後休憩をはさんで、桂南喬氏、ジェラルド・グローマー氏(山梨大学教授)、横山泰子氏(法政大学教授)をパネリストに迎え、神崎宣武所長のコーディネートによるシンポジウム「江戸から出る旅、江戸へ入る旅」が行われました。
落語の題材にもなった田舎者の江戸見物、盛り場での見せ物や遊興、芸能の伝播といった話題から、歴史的な文化都市である京都・大坂と、政治都市である江戸との対比といったことにも議論が及び、貴賎を問わず多くの人々を惹きつけた新興の「観光都市」江戸の求心力が、改めて浮き彫りにされました。 |