『旅の民俗シリーズ』出版記念フォーラム
「人はなぜ旅に出るのか―旅の歴史と民俗」を開催しました

さる10月31日(火)、当研究所主催による一般公開フォーラム「人はなぜ旅に出るのか―旅の歴史と民俗」を、東京・銀座ブロッサム(中央会館)にて開催しました。このフォーラムは、このほど刊行された旅の文化研究所編『旅の民俗シリーズ』(全3巻)の出版を記念して実施したものです。

まず基調講演として、当研究所の神崎宣武所長が「宮本常一の旅学から」というテーマで話をしました。旅の文化研究所は来年25周年を迎えますが、その前史には、昭和41年に開設された日本観光文化研究所の23年にわたる活動があります。所長である民俗学者の宮本常一のもとに、旅を通じて学ぼうという志をもった若者が集まり、高度経済成長の変革期にあった日本各地の見聞を記録して歩きました。旅の文化研究所は、その宮本の旅学の思想を根底で受け継ぎながら、より学際的で国際的な旅の文化研究を目指してさまざまな活動を進めています。今回の出版はその中間的な成果報告ですが、今後は原点に立ち返り、紀行文や詩歌の再評価に取り組むことも必要であると語りました。

続いて、執筆者のひとりでもある高橋竹山さんに、門付け芸として受け継がれてきた津軽三味線と民謡を実演していただきました。まずは青森県に伝わる祝い歌のひとつ謙良節から始まり、三味線よされ、佐渡おけさ、津軽あいや節、中じょんから節など10曲ほどを、師匠である初代高橋竹山の旅や歌のいわれなどの話をまじえながら、披露してくださいました。

休憩を挟んで『旅の民俗シリーズ』の執筆者紹介があり、その後、「旅の民俗―行商・芸能・観光」をテーマにパネルディスカッションを行いました。パネラーは、各巻の執筆者を代表して、岡村隆氏(作家・探検家)、亀井好恵氏(成城大学民俗学研究所研究員)、山本志乃(旅の文化研究所研究主幹)の3名、コーディネーターは佐伯順子氏(同志社大学大学院教授)です。それぞれのフィールドワークの体験から、スライドを使ってさまざまな旅のありようを紹介するとともに、「生きる」「寿ぐ」「楽しむ」という各巻のテーマを掘り下げ、旅の文化の広がりと可能性について意見を交わしました。

このフォーラムには約450名が参加され、盛会のうちに終了しました。  

神崎所長による基調講演

パネルディスカッション「旅の民俗―行商・芸能・観光」