「第23回旅の文化研究フォーラム」を開催

さる4月9日(日)、東京・白金台のシェラトン都ホテル東京にて「第23回旅の文化研究フォーラム」を開催しました。

まず第1部の研究発表では、この3月末で研究期間を終えた第23回公募研究の方々4名が、一年間の研究成果を発表しました。発表者と発表テーマは下表のとおりです。

その後、「第24回旅の文化賞」の表彰式と、「第24回公募研究プロジェクト」の採択発表式を行い、後半の第2部は、「忘れられた山と暮らし―森林鉄道の風景―」というテーマでパネルディスカッションを行いました。パネリストは、木下仁氏(林野庁森林整備部森林利用課 山村振興・緑化推進室長)、木大祐氏(成城大学民俗学研究所 研究員)、中村茂生氏(中芸地区森林鉄道遺産を保存・活用する会 事務局長)、コーディネーターは当研究所の山本志乃研究主幹です。

森林鉄道は、かつて林業が盛んだったころに、全国各地の山間地で、切り出した材木を運ぶために建設された鉄道です。そのほとんどは国有林に作られた官設の鉄道で、明治時代から昭和40年代にかけて、総数およそ1000、延長8000キロメートル以上もの路線が存在していました。そもそも人を運ぶ目的で作られたものではありませんが、山間地と麓の町とを結ぶ貴重な交通手段として利用され、地域の人たちに親しまれていました。

このパネルディスカッションでは、まず木下氏に森林鉄道の変遷や役割について詳しくお話いただき、木氏には静岡県の気田森林鉄道について、中村氏には高知県の魚梁瀬森林鉄道について、それぞれ地域の暮らしとの関わりからご紹介いただきました。また、森林鉄道遺産の保存・活用に携わってこられた中村氏から、活動の経緯や今後の見通しなどについてお話があり、観光資源としての可能性について、フロアの参加者も交えて活発な議論が展開しました。

当研究所では昨年より、軽便鉄道をテーマに特定研究プロジェクトを進めています。今回の議論をとおして、地域の足となっていた簡便な鉄道とくらしのあり方について新たな知見を得ることができました。

「第23回旅の文化研究フォーラム」発表者と発表テーマ(レジュメはこちらをご覧ください)

氏 名所 属研究題目
間中  光和歌山大学大学院
博士課程

観光を通じた災害復興の可能性とその形成要因に関する研究
―インドネシア・ジョグジャカルタ特別州の事例から―
黄  潔 京都大学大学院
博士課程
政策移動に関する村落の風水伝説と実践
―近現代中国におけるトン族の事例から―
関根 隆司 東京大学大学院
博士課程
旅と病者
―近代の四国遍路とハンセン病者を中心に―
吉元 菜々子首都大学東京大学院
博士課程
祖先のルーツをたどる旅
―ネパール、グルンの民族的故地への巡礼に関する社会人類学的
研究―